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Andrew Peklerによる幻想的な音響世界を深く探求する作品『New Environments & Rhythm Studies』が〈Faitiche〉より登場。長尺で没入的なコンポジションと、短く断片的なスケッチ風トラックに分かれ、人工的なフィールドレコーディング風の音響や滑らかな電子音テクスチャ、ゆらぐパーカッション、そして穏やかな旋律を自在に交差させている。この作品の核心にあるのは、自然と人工の音の関係性で、たとえば「Globestructures」や「Cymbals In The Mist」などでは、生態音のように聴こえるが、実際は完全にシンセサイザーで構築された音響環境。一方で、「Cumbia Para Los Grillos」や「Fabulation For K」では、コオロギや昆虫の音を録音・ループしてリズムのトリガーとして使い、そこにメロディーを重ねることで、有機的でありながらどこかズレたビートを生み出している。収録された6つの「Rhythm Studies」もまた、自然音と電子音の境界を遊ぶようなアプローチで、音楽とフィールドレコーディングの区別を曖昧にしている。全体としてこのアルバムは、エキゾチカや民族音楽学といった、西洋的な視点から他文化を“再現”しようとした過去の音楽スタイルを、あくまで想像の産物として再描写しようとする試みだとも言えて、実在しない場所の音、存在しない環境のリズム。それらを丁寧に、しかし大胆に構築し直したサウンドは、想像力と耳を刺激する作品になっている。

Novisadの2001年リリースのセカンド・アルバム『Seleya』が、2004年録音の未発表ボーナストラックを追加し、Andreas LubichのLoop-O Masteringによる新たなバイナルカッティングを施され〈Keplar〉より待望の再発!Kristian Petersによるこの作品は、音楽制作ツールであるAbletonやEurorackが台頭する以前の時代に作られた13のループベースの小品で構成されており、当時の限られた機材やソフトウェアが持つクセや粗さまでも音楽的な味わいとして昇華させた名作。鋭くジャギーなトーン、静かにぶつかり合うループ、不意に訪れる微細な不協和音——それらが編み上げるのは、無機質でありながらもどこか感情を孕んだ、壊れやすい繊細な電子音による風景で、明確な構造やジャンル感に縛られず、試行錯誤の過程そのものが美として響いてくるような佇まいが魅力的。00年代初頭のデジタル音響への純粋な好奇心と、技術的な制約ゆえのユニークな表現が共存する本作は、不完全さのなかに宿る親密さと、繊細でメランコリックな空気をまといながらも自由で探究的。移り変わる時代のはざまの一瞬の美しさをそっと掬い取ったような作品。

Yui Onoderaによる〈Field Records〉からの『Waterworks』三部作、日本とオランダの水工学の関係をテーマにしたシリーズの最終章が登場。今回は、岐阜の木曽・長良・揖斐の三川がテーマで、かつて名古屋を悩ませた洪水を防ぐため、19世紀末にオランダの技師ヨハネス・デ・リイケが河川の分離工事を行った歴史に着想を得て制作された。ASMR的なフィールド録音、浮遊感のあるシンセ、伝統楽器の響きが織りまざる、湿度を帯びたサウンドスケープを構築。緻密な空間設計により、「水」と「土地」の歴史を、音の余白と静寂の中で感じさせる。A面は精密な音の風景、B面は持続と沈潜を伴う瞑想的構成が特長的で、環境音と電子音楽が交差する、美しい“水の音楽”ドキュメント。

オーストラリア出身の名パーカッショニストWill Guthrieによって2019年に結成。フランスのナントを拠点に活動する極めて実験的な打楽器グループであり、ヨーロッパ各地のツアーを通じて高い評価を得ているEnsemble Nist-Nahによるセカンドアルバム『Spilla』が〈Black Truffle〉から登場!欧州版ガムラン・アンサンブルを意図したものではなく、ジャワのガムランの楽器と様々な他の打楽器を組み合わせて、東南アジア各地の音楽からフリージャズ、現代のヒップホップまで、あらゆるものから影響を受けた独自の音楽を演奏するハイブリッドなパーカッション・アンサンブル。本作では、ガムラン、ドラムキット、木/金属製の打楽器、撥弦楽器に捧げられたエキサイティングな48分間の音楽を収録し、彼らが志向してきた独自の音楽性がさらに深化したものとなっています。

Omid Geadizadehによる初のソロ作『Like The Sea Knows Blue』が彼自身がOlmo Devin、Morgan Buckleyと共に運営するダブリンの鬼才レーベル〈Wah Wah Wino〉からリリース。A面には、リバーブたっぷりでスモーキーなダブ・カットが3曲並び、どれもイランの伝統楽器サントゥールのサイケで魔法的な音色がじわじわと広がる逸品。1980年代NY地下ダブがテヘランに転送されたようなスモーキーで陽だまり感あるサウンドは最高。B面には、Morgan Buckleyによる魅惑のリミックスを収録。オリジナルの浮遊感を残しつつ、グルーヴィでヒプノティックな展開に引き込まれる。Wino節全開の一枚は、ダブと伝統音楽の境界を曖昧にする、まさに"音の錬金術"的作品。


Jeremiah ChiuとMarta Sofia Honerによるセカンド・アルバム『Different Rooms』が〈INTERNATIONAL ANTHEM〉から登場!本作は、前作の風景的な音像から一転して、日常の都市的なテクスチャーに焦点を当てた作品。舞台はロサンゼルスで、モジュラーシンセと生/加工された室内楽ストリングス、そして街中や家の中、駅の雨音といったフィールド録音が溶け合い、構築と偶然が共存するサウンドコラージュが展開される。制作は隣接する2つのスタジオで行われ、ある部屋でビオラを録音している横で、もう一方ではテーマがアレンジされるなど、プロセス自体がアルバムタイトル「異なる部屋たち」を体現している。この制作過程には、偶然性を積極的に取り込む姿勢が貫かれており、テープ操作やグラニュラーシンセによって、素材は予想外のかたちで変質し、感情の陰影を帯びて立ち上がってくる。その結果生まれた音楽は、きっちりと設計されつつも、どこか夢の中で聞こえてくるような、曖昧で親密な揺らぎを持っている。曲順にも対称的な構成が仕込まれており、あるモチーフが別のかたちで再登場するなど、時間と空間を行き来するような感覚を誘う。聴き手が今まさにいる場所と、作品世界との境界線を曖昧にするような仕掛けが随所に施されているのも印象的。都市の空気感と親密な質感、そして音響的なミステリーが同居した、深くて静かな一枚。


ベルギー拠点の鍵盤奏者Giovanni Di Domenicoとオランダの音響作家Rutger Zuyderveltによる静かな対話『Painting A Picture / Picture A Painting』が〈Moving Furniture Records〉より登場。本作は、Di Domenicoが自身のピアノ/ローズの一発録り録音に「きっとあなたの音と合うと思う」というメッセージを添えてZuyderveltに送ったことから始まる音による往復書簡のような一枚。アルバムには長尺の2曲を収録しており、一方は、Giovanniの鍵盤演奏をもとにRutgerが加工・音響構築を加えていく。他方は、Rutgerが前曲の素材を変奏・再構築した土台を先に作り、それにGiovanniが応答するかたちで鍵盤を重ねるという、どちらも片方の楽曲がもう片方の素材となる反響し合うような制作プロセスを踏んでいる。静かにさざめく音響と即興的な音の連なりは、時間の中に滲む絵筆の跡のように流れていく。作曲と非作曲の境界線をぼかす、静かに深く響く一作。


オランダの音楽家Hanyo van Oosteromによる新プロジェクトSon Of Chiのアルバム『We Carry Eden』が〈Music From Memory〉より登場。オランダ・アンビエント史の陰にして要とも言える存在だったvan Oosteromが、盟友Jacobus Derwortの逝去を機に新たな名義で送り出す本作は、まさに“次の章”にふさわしい作品。語り、フィールド録音、ドローン、ダブ、ジャズ、第四世界アンビエント。それらが溶け合い、まるで1本の川のように揺らめきながら進んでいく長尺2部構成のサウンド・ジャーニー。Jon Hassellの幻影を感じさせる場面もあれば、土の香りを含んだダブ・グルーヴが静かに浮かび上がる瞬間もありながらも、全編を貫くのは、空間と時間を超えるような深い瞑想感。そしてもう一人の主役は、西アフリカのフラニ族に伝わる語り部の伝統を継ぐOmar Ka。その声は、van Oosteromが旅の中で集めた音の断片に呼応し、過去と現在、記憶と風景を繋ぐナラティヴを編んでいく。静けさの中に力を秘めた、心に深く染み込む一枚。

2025年リプレス!大名門〈Modern Love〉に残した『Liumin』は今や同レーベルを代表する名盤としておなじみ。Stephen Hitchellとの名アンビエント・ダブ・プロジェクト、cv313やWaveform Transmissionなどでの活動も大変名高いデトロイトのダブテクノ/アンビエント巨匠Rod Model。Brian Enoの『Music for Airports』のアンビエントの青写真を再構成し、ヨーロッパの前衛的なバスステーションのデザインのために作り上げた環境音楽作品。

2025年リプレス!大名門〈Modern Love〉に残した『Liumin』は今や同レーベルを代表する名盤としておなじみ。Stephen Hitchellとの名アンビエント・ダブ・プロジェクト、cv313やWaveform Transmissionなどでの活動も大変名高いデトロイトのダブテクノ/アンビエント巨匠Rod Model。Brian Enoの『Music for Airports』のアンビエントの青写真を再構成し、ヨーロッパの前衛的なバスステーションのデザインのために作り上げた環境音楽作品。限定200部カラーヴァイナル仕様。


7月上旬再入荷。Mei Semones参加!シカゴを拠点に活動するギタリストのMatt Goldと、トランペット奏者・プロデューサーのWill Millerの二人によるコラボ作『Horizon』が〈INTERNATIONAL ANTHEM〉より登場!穏やかな湖畔の午後のような、陽光に包まれた美しく深い音世界を描き出すような音楽で、60〜70年代のブラジル音楽への共通の愛情を出発点に、アコースティックギターを中心に据えたセッションから始まり、やがてシンセや弦、管楽器を交えた豊かなオーケストレーションへと拡張していく。柔らかくも緻密に編み上げられたサウンドは、アンビエント、ジャズ、クラシカル、フォークが自然に溶け合い、叙情と実験精神が絶妙なバランスで共存している。沈黙や静寂を音楽に取り込むように音の余韻や間を大事にして、感情を繊細に伝える感性、温かく開けた音の中に、儚さや距離感が滲んでいるようなメランコリア。ブラジル音楽を「素材」ではなく「精神性」として捉え、現代のシカゴの音響感覚で翻訳し直したような作品で、ブラジル音楽への地続きのオマージュであり、静かで深い共鳴が感じられる。夕暮れの水面に差し込む光がゆらめく、一瞬のきらめきを留めようとするような美しくも儚い音楽。

インド古典音楽の名匠たちのアーカイブ音源を手がけてきた〈Black Truffle〉から、パキスタンの伝説的声楽家サラマット・アリ・カーンの未発表ライブ音源が初リリース!Agitation Freeのミヒャエル・ホーニッヒが録音を手掛けた1974年のベルリンのMetaMusikフェスティバルでのコンサートが収録されている。サラマット・アリ・カーンは北インドのパンジャーブ出身で、インド・パキスタン分離独立後に家族と共にラホールへ移住、幼少期から注目された声楽の天才で、ヒンドゥスターニー音楽の即興性豊かな声楽スタイル「カヤール」の名手として知られる。この公演では、伝統的なインドの撥弦楽器スワルマンダルの代わりに、特別に調律したアルプス地方のツィターを自ら弾きながら歌い、伴奏にはシャウカット・フセイン・カーン(タブラ)とフセイン・バクス・カーン(ハルモニウム)が参加している。通常、インド古典音楽ではタンプーラの持続音が基盤になるが、今回はそれがなく、代わりにカーン自身がツィターを使って繊細に音の支えを作っている。そのことが音楽に浮遊感や空白を与えており、より精神的で、詩的な深みある内容となっている。また、演奏時の美しいモノクロ写真と、ドイツの音楽学者ペーター・パンケによるエッセイも収録されており、演奏後にサラマット・アリ・カーン本人がふるまった絶品の手料理についてのエピソードなども綴られているなど、音楽の精神性と人間味がにじむ内容となっていて興味深い。

7月上旬再入荷。ダブ・テクノのパイオニアにして、Basic Channel、Rhythm & SoundのMark Ernestusが、セネガルでの長年の現地リサーチとミュージシャンたちとの協働を経て構築してきたプロジェクトNdagga Rhythm Force。西アフリカ・ンバラの精緻なポリリズムとベルリン流ミニマリズム/ダブの深層が交差する、9年ぶりのアルバム『Khadim』が〈Ndagga〉より登場。もともとErnestusは、ジャマイカのリディム感やサウンドシステム・カルチャーの源流をたどる中でセネガルに辿り着き、作品ごとに深化を続けてきたが、今回の『Khadim』ではさらに構成を大胆に削ぎ落とし、ギターを完全に排除し、パーカッション× Prophet-5シンセ×ヴォーカルというミニマルな編成となっている。中心にあるのは、Ernestusが長年愛用してきたProphet-5によるドローン的シンセ、Mbene Diatta Seckによるソウルフルかつスピリチュアルな歌声、そして打楽器奏者Bada Seck&Serigne Mamoune Seckによるしなやかで予測不能なサバール・パーカッション。これらが有機的に絡み合い、リズムで語るストーリーテリングの極致とも言うべき音のタペストリーを織り上げていル。ポスト・レゲエ、アフロ・ミニマル、スーフィー的精神性が一点で交差する、現代アフリカ音楽の極北とも言える内容で、空間性と肉体性、即興と構築の間で、精神と身体を丸ごと包み込む。肉体的なリズムの奥に静かな霊性が宿っていて、聴きながら内と外が同時に揺れるような感覚が素晴らしい。Ernestusの徹底して削ぎ落とすセンスと、セネガルのリズム/声/信仰の力が美しく交差した、ダンス・ミュージックの文脈でも、アフリカ音楽としても、どちら側から見ても誠実で、深い傑作。


1950〜1965年の南アフリカで生まれたズールー・ギター音楽の多彩で美しいルーツを掘り起こした貴重なコンピレーション『Zulu Guitar's Pioneering Tricksters』が〈Matsuli Music〉より登場。希少な78回転盤に刻まれていた音源を最新技術で丁寧に修復しており、失われかけていた歴史の一端が、かつてないほど鮮明な音で蘇っている。収録曲は、アパルトヘイト体制下における移民労働者たちの生活と精神の断片を映し出すもので、ハワイアン、カントリー&ウェスタン、初期のムバカンガなど、多様な音楽様式を自在に取り込みつつ、自らの文化的な語りをそこに織り込んでいるのが特徴。ノスタルジアと未来への希求、喪失とユーモアが混ざり合うこの音楽は、まさに「ズールー・ギター」の定義を拡張する、知られざる音楽的遺産。土着のサウンドと異国的影響が織りなす、民俗音楽、戦後アフリカ音楽、ギターを再文脈化する非常に貴重で価値ある録音の数々。今はなき、古き良きアフリカの手触りがたまらない一枚。


ノルウェーを代表するアンビエント作家Biosphereの『The Way of Time』が大名門〈AD93〉より登場!本作はElizabeth Madox Robertsの小説『The Time of Man』からゆるい着想を得て、Joan Lorringナレーションによる1951年のラジオドラマ版の抜粋が取り入れられている。南部訛りの哀愁ある語りが、ゆったりとしたループや静かなシンセサウンドと絡み合い、アメリカの田舎の空気とシンプルなアンビエントの対比を生み出している。Biosphereらしい深い静けさと広がりはそのままに、人間味のある、記憶を辿るような自己洞察的なトーンが印象的な作品になっている。


サウンド・アートのみならず、ニューエイジ/アンビエント・リスナーにもレコメンドしたい素晴らしい一枚!40分間にも渡り水滴が静かに滴る音が反響し続ける、国産フィルレコ・アンビエント金字塔!先駆的音響技術者であり、実用系フィルレコ・ニューエイジ傑作『爽 ~目覚めと眠りの音風景~』でも知られる高野雅昭氏が、霊峰で「天啓」を受けた際における純朴な音との出会いの感動を再現すべく作り上げた伝説的スタジオ作品『しずくたち』が栃木の名店〈Art into Life〉より待望の再発。
50年代前半よりフリーの音響プランナーとして主に舞台音響を担当、80年代中頃からは自作音具と収集した民族楽器による"音あそび”と題したパフォーマンスを開始、主宰の「音あそびの会」では参加者と共に活動に取り組んだ高野昌昭氏(1927-2007)。音響効果の専門家としての傍ら70年代以降は自然音の録音に熱中、その再現の一つとして自作音具"水琴竹”のシステムをスタジオに組み、上質な水滴の音のみを捉えた78年の録音《しずくたち》。オリジナルLPの仕様である、特殊紙をあしらった美しい装丁のジャケット、透明度の高いクリアヴァイナルを再現、新たに金子智太郎氏(日本美術サウンドアーカイヴ主宰)による詳細な解説ブックレットを付属させた復刻版。


エチオピアの伝説的な作曲家エマホイ・ツェゲ・マリアム・ゲブルの作品を、初めてピアノと弦楽アンサンブルで演奏した『Emahoy Tsege Mariam Gebru
played by Maya Dunietz & String Ensemble, Live in Paris』が〈LATENCY〉より登場!本作は、彼女の「ピアノだけでなく、もっと広い解釈で自分の音楽が演奏されてほしい」という願いを叶えるかたちで実現したもので、企画を主導したのは、エマホイと親交のあったイスラエルの音楽家マヤ・ドゥニエッツ。2005年にロンドンのレコード店で『Éthiopiques』シリーズの一枚を偶然手に取り、興味を持ったことがきっかけで、彼女と指揮者イラン・ヴォルコフはエマホイを探し出し、エルサレムの修道院で対面。その後エマホイ本人から、何百もの楽譜を託され、世界に広めてほしいと頼まれるようになる。このプロジェクトは、楽譜集の出版(2013年)や国際的な演奏活動として広がり、エマホイが生前に語った「自分の曲をオーケストラで聴いてみたい」という夢も受け継がれる。今回のアルバムはその夢の延長線上にあり、2024年4月、パリのブルス・ド・コメルスで行われた2公演の追悼コンサートで録音された。元々エマホイの音楽は、静かでミニマル、それでいて感情の深みを湛えた独特の響きを持っているが、今回のアレンジではより広がりのある音の空間として再構築されている。あくまでエマホイの音楽の核心──孤独、信仰、そして遠い記憶のような郷愁──を崩さないように細心の注意が払われており、沈黙や余白を大切にした祈りや瞑想に似た時間感覚をそのままに保った静かな再解釈。彼女の音楽に新たな光を当てながらも、決して眩しすぎず、ただそこにそっと在るような響きが素晴らしい。限定300部


マラウイのデュオ、Madalitso Bandによる3作目『Ma Gitala』が〈Bongo Joe〉から登場!これまでのライブ感溢れる録音とは異なり、初めてスタジオ制作に挑戦した意欲作。それでも彼らのトレードマークである手作りのババトーン(1弦ベース)、ギター、絡み合う歌声によるシンプルかつ力強いグルーヴは健在。バンジョー音楽、クウェラ、ゴスペル、アフリカン・フォークを土台に、ミニマルながら鮮やかなアコースティック・トランスを展開し、今回の作品では重ねられたボーカルや遊び心あるパーカッション、親しい仲間たちの参加による新たな表情も加わっている。記憶の断片や日常の小さな喜びが編み込まれたような楽曲群は、彼らの音楽が単なるフォークロアではなく、今を生きる音楽であることを強く印象づける。道ばたから始まった彼らの音楽は、ステージへ、そして世界のフェスへと広がったが、底抜けの明るさと内省的な雰囲気を併せ持った本作は、そんな旅路の途中でふと立ち止まり、あらためて自分たちの原点を見つめ直したような作品のように思えてくる。


ボーカルのZack Borzoneとプロデューサー/ドラマーのSam Pickardを中心にフィラデルフィアで結成され、のちにニューヨークに移ってからJack TobiasとSaguiv Rosenstockが加入した4人組バンドYHWH Nailgunのデビューアルバム『45 Pounds』がロンドンの大名門〈AD 93〉から登場。ポストパンク、ノイズロック、実験音楽を融合させたサウンドが特徴的で、バンド名はヘブライ語の「ヤハウェ」を意味するが、その音楽性はむしろ俗世的で、混沌とした暴力的なサウンドにこそ本質がある。宗教的というよりも、人間的な激情や混乱を表すために、聖書的なイメージや象徴を借用している。Pitchforkが「このデビュー作は、わずか21分で実験音楽とアヴァンギャルドの世界を再構築する」と評したように、圧倒的なテンションで、ギターは軋み、ドラムは暴れ回り、すべての音が過剰で、歪んでいて、それでいて妙に中毒性がある。ロックというフォーマットに内在する衝動や混乱を最大限に引き出した、ある種の"破壊と再構築"の儀式とも言えるとんでもない一枚!









多田正美(East Bionic Symphonia, Marginal Consort)や菅谷昌弘らによる名作も手がけてきた東京の気鋭レーベル〈ato.archives〉を主宰するYama Yukiによる最新カセットが、名店〈Kankyo Records〉よりリリース。日本的な自然観や都市の余白へのまなざし、土着的な霊性までもを静かに織り込んだ、繊細かつ深遠な音風景。環境音楽/ミニマル/ニューエイジ以後の祈りとしてのアンビエント。柔らかくも精緻に編み上げられたこの音は、まさに「耳で触れる風景」。静かに息づく、現代の音による地霊の記録です。